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慢性期(病院のリハビリテーション)
脳損傷による運動障害は発症後3ヶ月から6ヶ月かけて改善します。その一方で、高次脳機能障害は最低1年、長い人で、5年、10年と改善していく印象を受けます。脳損傷による後遺症の治療に関わるリハビリテーションチームの一員は、さまざまな障害について、その改善の見通しを早期に見際める技量が求められます。
運動障害は、可能であれば6ヶ月以内に最大限の回復を目指し、高次脳機能障害は、少し腰を落ち着けたプランを組む必要があります。
この時期、病院でのリハビリテーションの多くは、歩行や日常生活動作の自立が目的です。となると、身体障害がなく、高次脳機能障害だけの患者さんは病院でやることがない‥‥‥。
では、リハビリテーションの必要がないかというと、そうではありません。この時期のリハビリテーションは、非常に大切です。
ここでいうリハビリテーションは、主に医療から福祉、医療から地域、医療から就労・就学への重要な橋渡しになります。だから、週1,2回病院にきて、何らかの作業や課題をやってもらうだけで終わってしまっては困ります。
この時期、医療に携わる者に求められるのは、地域や社会へ戻るための「適切な道しるべ」を示すことにほかなりません。
「来年、職業能力校を受験するために、いま、国語と算数の勉強をしているんです」「障害者雇用での就職を目指して、厚生施設への入所を予定しています」「ひとまず、家の仕事を手伝ってみようと思います」「障害者スポーツで、パラリンピックの出場を目指しています」など、当事者が思い描くプランに耳を傾け、そのプランが彼らにとって適切かを一緒に考え、より良い方向に導いていく。それこそが、この時期に求められているリハビリテーションではないでしょうか。
平成十八年度に厚生労働省は、脳損傷者が医療で行えるリハビリテーションの実施機関の上限を180日と決めました。この期間は、運動障害が良くなる時期と一致します。しかし、「高次脳機能障害」という診断がついた場合、この上限が免除され、それ以降もリハビリテーションが行えるシステムでした。
前述の6ヶ月で運動機能の回復、そして5年、10年と改善していく高次脳機能障害への対応として、理論上は適切な診療報酬改定だったともいえます。
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