| 5.頸椎捻挫と頸椎椎間板ヘルニアの違い
頸椎の急激な伸展・屈曲を伴う鞭打ち損傷や、あるいは急激な捻転をひきおこすような自動車事故の後では、しばしば頸部痛が発生する。外傷の結果、神経根が伸展されたり、変形性頸椎症の骨棘で圧迫がおきたり、あるいは椎間板の脱出が発症することもある。
神経障害を伴う患者では上肢のシビレや筋力低下とともに種々の程度に肩甲骨内縁や上肢への放散痛を伴った頸部の痛みを訴える。しかし、このような自動車事故でも、単に頸椎の後面あるいは前面の頸部筋群の伸展だけにとどまるようなこともあり、その場合にも肩関節、肩甲骨内縁に放散痛を伴う同様の頸部痛を生ずることがある。
神経損傷を伴わない軟部組織のみの損傷か、神経損傷を伴うものかの鑑別は上肢の神経支配に応じてのその障害特徴を総合判断すれば容易である。最初、障害がはっきりしていなくても、後に症状が明瞭になってくることがあるので、診察するたびに必ず神経学的検査を毎回繰りかえして行う必要がある。また、その逆も実際にありうることに注意しなけらばならない。すなわち、神経障害の治療のために入院した患者の野赤には筋力、反射、障害部位の知覚が回復してくることもある。
神経学的にも、X線検査でも、はっきりした病変を示す所見がなくて、頸部の疼痛を6ヵ月から1年も訴え続ける患者が多い。
そのようなときでも、臨床家は頸椎椎間板や脊髄神経前枝の障害ではなくて、軟部組織の永続的な障害がある可能性を考え、たとえ患者が言い張っても、確信をもって保存的療法(手術的療法ではなく)を続けるべきである。
筋力
知覚
反射
オートバイ事故による神経根引き抜き損傷
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