胸髄損傷でしかもそれぞれが完全損傷であればその損傷レベルがどこであろうと共通した問題がある。
その理由は胸髄は四肢を支配していないのでどの髄節の障害でも完全損傷であれば対麻痺を呈するからである。
胸髄損傷の高位診断には体幹の知覚支配をみるのが主な診断法で腹筋の筋力をみる方法は補助的な検査法である。
患者の将来の行動能力を判断するうえでリハビリテーションのさい、坐位、起立、歩行の安定性を保つ腹筋、傍脊柱筋の機能を評価しておくことは重要なことである。これらの筋は髄節区分がはっきりしているからである。
T1〜T8:
一般にT1〜T8間の脊髄損傷では車椅子を使う限り日常生活動作はすべて可能であるが、T1〜T4脊髄損傷の場合は床からの立ち上がりや車椅子の歩道乗り越え動作などの複合動作はかなりの困難を伴う。
T6:
T6脊髄損傷では、上肢及び胸部の筋力は十分なので胸部ベルトを用いれば身体を支えることができる。
T9〜T12:
T9〜T12脊髄損傷の場合は、長下肢装具と松葉杖を用いて独立歩行が可能である。
L1〜L3:
L1〜L3脊髄損傷対麻痺では骨盤の支持性は良いので、長下肢装具と杖もしくはロフストランド杖により独歩が可能である。
L4〜S2:
L4〜S2脊髄損傷対麻痺においては短下肢装具と杖を使用することにより車椅子は不要である。日常生活動作はすべて自由に行える。
T1〜L1の脊髄損傷中もっとも多いのはT12〜L1間であるT12〜L1間の椎間関節は腰椎部の特徴をもっており関節面は前額面を向いている。矢状面を向いているT12、L1間の椎間関節ではしたがって前額面を向いている他の胸椎間に比べてより屈曲動作が可能である。さらに他の胸椎間では胸郭により動きが一層制限されている。これらの結果T12〜L1間は
動きの中心をなし応力が集中するため、より大きな外力が加わりやすく、麻痺の原因となる骨折をおこしやすい。
この部では脊柱管腔葉非常に狭いので、軽度の脱臼がおこっても脊髄を直接圧迫することとなり、神経損傷は必発であるということを銘記しておくべきである、過度の屈曲や回旋が胸椎部脱臼骨折の原因であり、対麻痺をきたすのが普通である。
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