車いすを使用するようになった方にとって、車いすは大切な移動手段です。中でも脊髄損傷等の四肢麻痺の型は、障害も重度であることから、適切なグローブや車いすの使用、適切な操作方法を身につけないと、平地の移動でさえ苦労が伴います。
車いすの操作については、障害を受けてから自分なりに工夫をして習得された方も多いのではないでしょうか。しかしながら、効率的な車いす操作を習得していれば問題はないのですが、非効率的な操作を身につけてしまうと、車いすをこぐだけで疲れてしまいます。
ここでは、車いすの基本操作を整理します。主に平坦地で用いる車いす操作を中心に、残存機能をできるだけ有効に活用するという観点からまとめてみました。自分の残存機能に見合った操作方法を確認してもらい、普段の移動の際にも少し意識して操作するとよりスムーズに颯爽と車いすを操作できるようになります。
車いすの操作の種類
平坦地での車いすの操作は、「前進走行」「後進走行」「制動」「ターン」の四つに大別できます。
さらにターンは、静止からのターンと走行からのターンに分けることができます。
1・前進走行
曲がらないように、まっすぐ進めるようになりましょう。さらに楽に速くこげるようになると理想的です。
(1) 車いすをこぐ動作
車いすをこぐ動作は、「プッシュ」「休み」「準備」の三つの段階に分けることができます。力強くこぎ、速く進むにはプッシュをしっかりできることが重要です。
(2) しっかりプッシュしよう
こぎ始めの位置に手を持っていき、ハンドリムに手をあてます。左右同じくらいの位置に手をあててください。こぎはじめの位置は残存機能レベルによって違います。ハンドリムに掌をしっかりと押し当て、タイヤを回します。最後はキャスター方向にしっかりこぎきることが重要です。
(3) 休みをしっかり取ろう
プッシュの後に肩の力を抜いて休むことを覚えましょう。ハンドリムを握り続けては、進むどころかかえってブレーキになります。しっかりプッシュしたら、ハンドリムから手を離し、体を起こしましょう。
車いすは勝手に進んでいるでしょう。そうすることで、長い時間こぎ続けることができますし、一度筋肉をゆるめることで、次にこぐときに大きな力を発揮できるはずです。
2・後進走行
長い距離を走る必要はありません。5m程度まっすぐに後進できると、車いすを操作するうえで役立ちます。
(1) まっすぐに走れるように体をしっかり起こします。遠くをしっかり見つめます。ハンドリムの前方に手をあて、後方に左右同時に引くようにします。
(2) 肩の力を使って大きくこぐ。まっすぐに走れるようになるだけでも十分ですが、肩周囲筋を有効に使うためにも、さらに後下方までこぎきれるとよいでしょう。そのためにも肩甲骨を大きく動かします。下を見ないようにしてください。機能状態がよくなると、つい肘から先だけでこいでしまいがちですが、肩を大きく動かすことが鍵となります。
3・制動
こいだら止まってみましょう。止まりたいところで、バランスを崩すことなく止まれるようになります。
(1) 止まる前に体をしっかりと起こしましょう。
(2) ハンドリムに手をしっかりとあてます。急に止まるとバランスを崩しやすいので、最初は徐々に止まるように練習します。
4・静止からのターン
止まることができたら、次は車いすの方向を変えてみましょう。止まっているところからのターンには、大きく分類して2種類あります。状況によって使い分けることができるようになるといいでしょう。
(1) ピポットターン
片方のタイヤを軸にしたターンです。この操作をマスターすることで、進行方向に対して左右に傾斜がついた道路でもうまく走れるようになります。
一方のタイヤを動かさないようにします。もう一方のタイヤをしっかりプッシュして方向を変えます。
(2) 押し引き同時ターン
左右のタイヤを前後互い違いに動かすターンです。狭いスペースでのターンが可能です。熟練すると左右の手をほぼ完全に同じタイミングで動かすことができるようになります。
一方の手はハンドリムの前のほうにあてます。もう一方の手はハンドリムの後ろのほうにあてます。前のほうの手は後に引きます。後ろのほうの手は前にプッシュします。
5・走行からのターン
走っている状態から方向をかえてみましょう。
(1) ランニングターン
スピードがついた状態からのターンです。熟練すると、ブレーキ側の手のあて具合の調整により、ターンの大きさや、回旋スピードが調整できます。
曲がりたいところの2mくらい手前で車いすをこぐのを止め、車いすを惰性で転がします。体を起こして、曲がりたい方向のハンドリムに手をあてます。その時これから向かう方向に顔を向けるとよりスムーズなターンが可能になります。
反対側の手は押手に肘をかけるか、膝の上等に置いてください。スピードが出ているときはハンドリムに手を強くあてないでください。
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