原告は、本件事故により、左拇指基節骨剥離骨折、前額部切創、頚椎捻挫等の傷害を負い、事故当日の平成10年4月11日から同年12月19日までの間、通院治療を行ったこと、右最後の通院日に原告の症状が固定したこと、原告の本件事故による後遺障害について、平成10年11月4日付の後遺障害等級事前認定票において、一手の拇指の指骨の一部喪失により後遺障害等級13級と認定されたこと、その後、原告の前額部に長さ3センチメートルの創痕があることを理由とする異議が申し立てられ、平成11年3月1日付の同認定票において、右創痕について、女子の外貌醜状に該当するとして、後遺障害等級併合11級と認定されたこと、原告は、昭和54年12月1日生の女子で、前記症状固定時19歳であったこと、原告は本件事故当時車用品店に就業し、接客、レジ打ち、事務等を担当していたこと、原告自身は接客業に携わることを望んでいることがそれぞれ見とめられる。
右認定事実及び本件に顕れた諸般の事情に照らせば、原告が本件事故により被った後遺障害について、これを慰謝するに足りる金額は金350万円を下らないものと認めるのが相当である。
よって、原告が被った後遺障害慰謝料としての損害額は金350万円と認められる。
1 証拠及び弁論の全趣旨によれば、原告の前額部には、長さ3センチメートルの創痕以外にそれより小さな創痕が多数あること、原告は、高校卒業後、平成10年3月16日から自動車部品、用品販売を業としている会社に勤務を始め、接客、レジ打ち、事務等を担当していたこと、本件事故後、原告が本件事故により休業したのは、1日か2日だけで、それ以外は通常通り仕事に出ていたが、本件事故で被った障害の影響により仕事の能率が下がったことあるいは前額部の創痕が気になったことなどから職場に居づらくなり、原告は、平成11年10月15日、退職したこと、本件事故後、右退職するまで、原告の給与が下げられたことはなかったことがそれぞれ認められる。
2 右認定事実に加え前記一1で認定した事実を併せ考慮すれば、原告が本事故で被った一手の拇指の指骨の一部喪失により、原告の労働能力は制限される結果となり、また、前額部の創痕による外部醜状は接客業への就業等を制限する要因となるものとみられるから、右両後遺障害により、原告の労働能力が一部喪失したと認めるのが相当である。
そして、それらの後遺障害の程度を考慮すれば、労働能力喪失の割合は20パーセントと認めるのが相当である。
また、後遺障害の程度等諸般の事情に照らせば、喪失期間は20年間とするのが相当であり、逸失利益の基準となる収入額について、原告は平均賃金を取得できる蓋然性があったと認められるから、全年齢平均賃金センサスを基準として逸失利益を算定するのが相当である。
そうすると、本件事故による後遺障害を原因とする逸失利益は、金320万7100円(全年齢平均賃金センサス)×0.2(労働能力喪失割合)×12.4622(喪失期間20年間とするライプニッツ係数)=金797万5808円となる。
よって、本件事故による逸失利益としての損害額は、金797万5808円と認められる。
岡山地裁 平成12年3月6日判決