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★主婦の休業損害
家事従事者とは、性別・年齢を問わず、現に家族のために家事労働に従事する者をいいます。
家事労働も、家族外の者に頼めば一定の報酬の支払をせねばならず、家族関係の存在のゆえに、金銭による対価支払いが行われていないと考えられます。それゆえ、家事従事者は、報酬相当の利益を家族のために確保しているということになりますので、家事労働による金銭的利益を得ているのと同視できます。
このような考え方から、現金収入はなくとも、受傷のため家事に従事することができなかった期間につき、休業損害を請求することができます。
算定の基礎となる収入源は、女性労働者の平均賃金(賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計の全年齢平均賃金または年齢別平均賃金)を用います。
通常の場合は、全年齢平均賃金額を基礎収入額とすることが多い。高齢者の場合には、年齢別平均賃金が採用される傾向にあります。かなりの高齢者の場合には、身体状況や家族との生活状況を考慮して、賃金センサスの金額の何割かに減額した額を基礎収入とする例もあります。
なお、男性の家事従事者もいますが、その場合でも、基礎収入額は女性センサスの値を参照して認定されることが多い。
従たる家事従事者(子供夫婦と同居する親など)の場合には、現実に分担している家事労働の内容や従事できる労務の程度を考慮して、適宜減額された金額を基礎収入額とすることがあります。
家事に従事しつつ、パートタイマーとしてあるいは事業による収入を得ている者もいますが、その場合でも実収入部分を女性平均賃金額に加算せず、平均賃額を基礎収入とします。金銭収入が平均賃金額以上の時は、実収入額によって給与所得者あるいは個人事業者等として損害額を算定します。
上記のような取り扱いは、主婦業は24時間労働であり、その主婦労働全体の経済的価値を平均賃金をもって評価しようとするものであるので、その一部の時間を割いて現実のパート収入を得たとしてもそれは主婦労働の一部が現実収入のある別の労働に転化したにすぎないと考えられるからです。
ただし、上記の考え方は主婦労働の内容や質の相違を無視するものであり、平均賃金にパート収入を加算すべきであるとする考え方もあり、裁判例の中には金銭収入の喪失が家庭に与える影響が大きいなどの事情を考慮して、家事従事者の基礎収入額認定にあたり、比較的金額が高い年齢別平均賃金を使う例もあります。