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健康保険、厚生年金保険、介護保険について

文責 社会保険労務士 松井 宝史 2021.04.17

健康保険について

健康保険は、公的な医療保険です。健康保険制度では、会社(従業員等は給料から天引きされます)が国や健康保険組合に保険料を納付し、事故があった時にそれから保険給付が行われます。

なお、健康保険は業務外の病気やケガに対して給付が行われ、業務上または通勤途中で起きた事故による病気やケガは、対象外です。

それらは、労災保険で給付されます。

令和4年10月1日から5人以上の士業事務所も厚生年金の強制加入対象になります。

具体的に追加される士業は、税理士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、社会保険労務士、弁理士、公証人、海事代理士が予定されています。

保険料の決め方

保険料は、標準報酬月額をもとに算定します。

本来は、実際に支払われる給与に応じて負担すべきものですが、事務を簡素化にし、正確・迅速におこなえるように、標準報酬という概念を導入しています。

健康保険制度の標準報酬月額は、健康保険は第1級の5万8千円から第50級の139万円までの全50等級に区分されています。

厚生年金保険について

厚生年金保険は、一定の年齢に達した人に対して、老齢厚生年金を支給します。

また、障害者となった方には、障害厚生年金と障害手当金を支給します。そのほか、死亡した従業員の遺族に、遺族厚生年金を支給します。

厚生年金保険では、被保険者が受け取る給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を、保険料や年金額の計算に用います。

現在の標準報酬月額は、1等級(8万8千円)から32等級(65万円)までの32等級に分かれています。

保険料の負担

健康保険と厚生年金保険の保険料は、標準報酬月額に保険料率を乗じて計算します。

実際は、標準報酬月額表により求めます。

原則として、保険料は会社と従業員で折半して払います。

介護保険について

介護保険は、市町村が保険者となり、要介護状態にある人や要支援状態にある人に対して、介護サービスの提供を行います。

40歳以上の人は、すべて介護保険に加入することになります。

介護保険料の負担は、40歳の誕生日の前日の属する月から必要になります。

介護保険料は、健康保険と同じく、標準報酬月額を基に計算します。

実際は、標準報酬月額表より求めます。

保険料は、会社と従業員が折半して負担します。

65歳以上の方は、市町村が年金から徴収しますので、ご注意下さい。

標準報酬月額を決定する時

保険料を決定する時期は、3つあります。資格取得時決定、定時決定、随時決定の3つです。

資格取得時決定

まず、従業員を採用した時に決定します。これを、資格取得時決定と言います。

従業員を採用してから、5日以内に「被保険者資格取得届」を社会保険事務所に提出しますが、この届に報酬月額を記入する欄があり、それを基に社会保険事務所が標準報酬月額を決定します。

定時決定

毎年7月に、7月1日現在の全被保険者を対象に、4月~6月までの3ヶ月分の報酬をもとに新しい標準報酬を算定します。これを定時決定といいます。

この時に提出する書類は「被保険者報酬月額算定基礎届」と言います。

社会保険事務所で決定した標準報酬は、9月分の保険料から適用されることになりますので、原則的には10月支払の給与から保険料を変更していくことになります。

随時改定

大幅な昇給(降給)があると、取得時決定や定時決定した標準報酬と、実際に支給される給与とかけ離れてしまします。

その場合には、標準報酬月額を改定する必要が生じます。これを随時改定と言います。

随時改定する条件は、次の3つの条件がすべて該当した時に行われます。

1.固定的給与の変動があった時

2.固定的給与の変動があった月以降3ヶ月の給与の支払基礎日数が20日以上あること

3.3ヶ月間の給与の標準報酬が2等級以上変動した時

注1. 固定的給与とは、基本給、家族手当、住宅手当等毎月決まった金額で支給されるものを言います。時間外勤務手当等の変動は対象外です。

注2. 随時改定は「標準報酬月額変更届」を提出します。固定的給与の増減があった月から4ヶ月目に新しい標準報酬月額が適用になります。

育児休業等終了時の改定

被保険者からの届出によって、育児休業等終了日の翌日が属する月以後3か月間に受けた報酬の平均額に基づき、その翌月から新しい標準報酬月額に改定する。

保険者決定

資格取得時決定における算定方法及び定時決定における算定方法による算定が困難なとき、資格取得時の算定額が著しく不当であるとき、定時決定の算定額が著しく不当であるとき、随時改定の算定額が著しく不当であるとき、一時帰休による変動があったとき、のいずれかに該当するときは、厚生労働大臣が算定する額を被保険者の報酬月額として標準報酬月額を決定(改定)する。

従業員を採用した時

従業員を採用した時は、社会保険事務所に「被保険者資格取得届」を提出して行います。届出に必要な添付書類は、次のとおりです。

以前に厚生年金保険又は国民年金保険に加入したことがある方については、基礎年金番号通知書

年金を貰っている方については、年金証書のコピー又はマイナンバー

扶養家族がいる方については、被扶養者(異動)届と各種証明類(マイナンバーなど)

健康保険と厚生年金保険は、入社した月から保険料の対象になります。月の途中で入社しても1か月分の保険料を負担することになります。
その月の保険料は、原則として翌月に支払う給与から控除して、控除した月の末日に納付することになります。

但し、入社した月に退社した場合は、入社した月の給与から控除することになります。

従業員が退社した時

従業員が退社した時は、社会保険事務所に「被保険者資格喪失届」を提出して届出を行います。

届出は、退社した日の翌日から5日以内に提出となります。

届出にあたり、従業員から健康保険被保険者証を回収して年金事務所に返却することになります。

健康保険と厚生年金保険の保険料は、被保険者資格を喪失した月には負担する必要がありません。

但し、退職者が資格を喪失するのは、退職日の翌日になりますので、ご注意下さい。(月末で退職した場合は、喪失日は翌月の1日になります。)

傷病手当金

本人や家族が出産をしたとき

法人の代表者等に対する健康保険の保険給付について

(平成15年7月1日)(保発第0701002号)
(健康保険組合理事長あて厚生労働省保険局長通知)
健康保険法(大正11年法律第70号。以下「法」という。)は、業務外の事由による疾病等に関して保険給付を行うこととされているため、業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病は、健康保険の給付対象とならない。
一方、法人の代表者又は業務執行者(以下「代表者等」という。)は、原則として労働基準法(昭和22年法律第49号)上の労働者に該当しないため、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)に基づく保険給付も行われない。
しかしながら、極めて小規模な事業所の法人の代表者等については、その事業の実態等を踏まえ、当面の措置として、下記のとおり取り扱うこととしたので、その実施に当たり遺憾のないよう取り扱われたい。

1 健康保険の給付対象とする代表者等について

被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者等であって、一般の従業員と著しく異ならないような労務に従事している者については、その者の業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関しても、健康保険による保険給付の対象とすること。

2 労災保険との関係について

法人の代表者等のうち、労働者災害補償保険法の特別加入をしている者及び労働基準法上の労働者の地位を併せ保有すると認められる者であって、これによりその者の業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関し労災保険による保険給付が行われてしかるべき者に対しては給付を行わないこと。
このため、労働者災害補償保険法の特別加入をしている者及び法人の登記簿に代表者である旨の記載がない者の業務に起因して生じた傷病に関しては、労災保険による保険給付の請求をするよう指導すること。

3 傷病手当金について

業務遂行上の過程において業務に起因して生じた傷病については、小規模な法人の代表者等は、一般的には事業経営につき責任を負い、自らの報酬を決定すべき立場にあり、業務上の傷病について報酬の減額等を受けるべき立場にない。
こうしたことも踏まえ、法第108条第1項の趣旨にかんがみ、法人の代表者等が、業務遂行上の過程において業務に起因して生じた傷病については、傷病手当金を支給しないこと。

4 適用について

本通知は、本日以降に発生した傷病について適用すること。

夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について

1夫婦とも被用者保険の被保険者の場合には、以下の取扱いとする。

(1)被扶養者とすべき者の員数にかかわらず、被保険者の年間収入(過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだものとする。以下同じ。)が多い方の被扶養者とする。

(2)夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。

(3)夫婦の双方又はいずれか一方が共済組合の組合員であって、その者に被扶養者とすべき者に係る扶養手当又はこれに相当する手当(以下「扶養手当等」という。)の支給が認定されている場合には、その認定を受けている者の被扶養者として差し支えない。

なお、扶養手当等の支給が認定されていないことのみを理由に被扶養者として認定しないことはできない。

(4)被扶養者として認定しない保険者等は、当該決定に係る通知を発出する。

当該通知には、認定しなかった理由(年間収入の見込み額等)、加入者の標準報酬月額、届出日及び決定日を記載することが望ましい。

被保険者は当該通知を届出に添えて次に届出を行う保険者等に提出する。

(5)(4)により他保険者等が発出した不認定に係る通知とともに届出を受けた保険者等は、当該通知に基づいて届出を審査することとし、他保険者等の決定につき疑義がある場合には、届出を受理した日より5日以内(書類不備の是正を求める期間及び土日祝日を除く。)に、不認定に係る通知を発出した他保険者等と、いずれの者の被扶養者とすべきか年間収入の算出根拠を明らかにした上で協議する。

この協議が整わない場合には、初めに届出を受理した保険者等に届出が提出された日の属する月の標準報酬月額が高い方の被扶養者とする。

標準報酬月額が同額の場合は、被保険者の届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。

なお、標準報酬月額に遡及訂正があった結果、上記決定が覆る場合は、遡及が判明した時点から将来に向かって決定を改める。

(6)夫婦の年間収入比較に係る添付書類は、保険者判断として差し支えない。

2夫婦の一方が国民健康保険の被保険者の場合には、以下の取扱いとする。

(1)被用者保険の被保険者については年間収入を、国民健康保険の被保険者については直近の年間所得で見込んだ年間収入を比較し、いずれか多い方を主として生計を維持する者とする。

(2)被扶養者として認定しない保険者等は、当該決定に係る通知を発出する。

当該通知には、認定しなかった理由(年間収入の見込み額等)、届出日及び決定日を記別紙載することが望ましい。

被保険者は当該通知を届出に添えて国民健康保険の保険者に提出する。

(3)被扶養者として認定されないことにつき国民健康保険の保険者に疑義がある場合には、届出を受理した日より5日以内(書類不備の是正を求める期間及び土日祝日を除く。)に、不認定に係る通知を発出した被用者保険の保険者等と協議する。

この協議が整わない場合には、直近の課税(非課税)証明書の所得金額が多い方を主として生計を維持する者とする。

3主として生計を維持する者が健康保険法(大正11年法律第70号)第43条の2に定める育児休業等を取得した場合、当該休業期間中は、被扶養者の地位安定の観点から特例的に被扶養者を異動しないこととする。

ただし、新たに誕生した子については、改めて上記1又は2の認定手続きを行うこととする。

4年間収入の逆転に伴い被扶養者認定を削除する場合は、年間収入が多くなった被保険者の方の保険者等が認定することを確認してから削除することとする。
5被扶養者の認定後、その結果に異議がある場合には、被保険者又は関係保険者の申立てにより、被保険者の勤務する事業所の所在地の地方厚生(支)局保険主管課長(以下「保険課長」という。)が関係保険者の意見を聞き、斡旋を行うものとする。

各被保険者の勤務する事業所の所在地が異なる場合には、申立てを受けた保険課長が上記斡旋を行い、その後、相手方の保険課長に連絡するものとする。

6前記1から5までの取扱基準は、令和3年8月1日から適用する。

郵送方法について

健康保険・厚生年金保険の適用に関する届書等を郵送される際は、封筒に送付先の事務センターと郵便番号(個別郵便番号)を記載するだけで、それぞれの事務センターに届きます。

都道府県 届書や申請書の郵送先
あて名 個別郵便番号
北海道 日本年金機構 北海道事務センター 003-8572
青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県 日本年金機構 仙台広域事務センター 980-8461
栃木県・群馬県 日本年金機構 高崎広域事務センター 370-8533
茨城県・埼玉県・新潟県・長野県 日本年金機構 埼玉広域事務センター 330-8530
千葉県・東京都・山梨県 日本年金機構 東京広域事務センター 135-8071
神奈川県 日本年金機構 神奈川事務センター 220-8557
富山県・石川県 日本年金機構 金沢広域事務センター 920-8626
岐阜県・静岡県・愛知県・三重県 日本年金機構 名古屋広域事務センター 460-8565
福井県・滋賀県・大阪府・奈良県・和歌山県 日本年金機構 大阪広域事務センター 541-8533
京都府 日本年金機構 京都事務センター 600-8642
兵庫県 日本年金機構 兵庫事務センター 651-8514
鳥取県・島根県・岡山県 日本年金機構 岡山広域事務センター 700-8501
広島県・山口県 日本年金機構 広島広域事務センター 730-8602
徳島県・香川県・愛媛県・高知県 日本年金機構 高松広域事務センター 760-8524

福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県

日本年金機構 福岡広域事務センター 812-8579


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