3.通勤起因性
★1.他人の一方的な加害行為による場合
通勤の途上で被った災害が、すべて労災保険の保険給付の対象とされるものではなく、「通勤による」災害の場合に限られます。
この「通勤による」とは、通勤と災害との間に相当因果関係のあること、つまり、通勤に通常伴う危険が具体化したことをいうものであり、これは、業務災害の場合のいわゆる業務起因性に相当するものです。
具体的には、通勤の途中において、自動車に引かれた場合、電車が急停車したため転倒して受傷した場合、駅の階段から転落した場合、走行中にビルの建設現場から落下してきた物体により負傷した場合、転倒したタンクローリーから流れ出す有害物質により急性中毒にかかった場合、通勤による負傷に起因する疾病にかかった場合等、一般に通勤中に発生した災害は、「通勤による」ものと認められます。
他人の一方的な加害行為による場合
1・災害の発生状況
中華料理店に勤務する被災労働者は、午後9時に勤務を終了して帰宅するため最寄の私鉄駅で下車し、自宅に向かって人通りのない暗い道を歩行中、突然背後から何者かに抱きつかれたので、逃げようとして転倒したところを鋭利な刃物で背部を刺され負傷したものである。
なお、災害の発生時刻の午後10時15分頃は、この付近で同じような犯罪が多発している時間帯であった。
2・認定のポイント
第三者の暴行行為による負傷が「通勤による」ものといえるかどうか。
3・結論及び理由
通勤災害と認められる。
(理由) 本件のように、女性労働者が午後10時15分頃に、暗く人通りの少ない大都市周辺の住宅散在地域を通勤する途中において、変質者等から襲われ、その結果負傷することは通常考え得ることであり、しかも、被災労働者の退勤時刻は、当該地域における粗暴犯罪発生の集中している時間帯であって、この種の類似犯も発生しており、また、当事者間に私的関係等があるとする特別の事情なども見出せないことから、通勤に通常伴う危険が具体化したものと認められる。
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