3.通勤起因性
★通勤による疾病の場合
1・災害の発生状況
被災労働者は、当日いつもより遅く起きたため、朝食も摂らずに、通常の出勤時間(6時35分頃)より5分位遅れて急いで自宅を出て自転車に乗り、最寄の駅に向かった。駅のガードしたに自転車を置き、ガードしたのゆるやかなこう配をのぼって、駅の改札口を通り構内の約40段(中間に踊り場がある)の階段をのぼり跨線橋を渡って下りホームへ通じる階段を下りる途中で倒れて死亡したものである。
なお、死因は、検死の結果、急性心不全と診断されたものである。
2・認定のポイント
通勤の途中において、急性心不全により死亡した災害を「通勤による」ものと認められるかどうか。
3・結論及び理由
通勤災害とは認められない。
(理由)
「通勤による疾病」とは、通勤による負傷又は通勤に関連する諸種の状態(突発的又は異常な出来事等)が原因となって発病したことが医学的に明らかに認められるものをいうが、本件労働者の通勤途中に発生した急性心不全による死亡については、特に発病の原因となるような通勤による負傷又は通勤に関連する突発的な出来事等が認められないことから「通勤に通常伴う危険が具体化したもの」とは認められない。したがって、本件は労災保険法第7条第1項第2号の通勤災害には該当しない。
@「通勤による負傷に起因する疾病」の認定については、業務上の負傷に起因する業務上の疾病に準じて判断することになる。
すなわち、
イ・負傷した当時、何ら疾病の素因等を有していなかった者が、その負傷が原因となって発病したと認められる場合。
ロ・負傷した当時、疾病の素因等があったが、その素因等のみでは発病する程度でなかった者が、その負傷が原因となって、その素因等が刺激されて発病したと認められる場合。
ハ・負傷した当時、疾病の素因等があり、しかも、早晩発病する程度であった者が、その負傷が原因となって、発病の時期を著しく早めたと認められる場合。などがこれに該当することになる。
たとえばマイカー通勤の労働者が、他の車に衝突され、ガラスの破片によって負傷し、その負傷が原因で破傷風になったと医学経験則上認められる場合、あるいは、自動車事故によって頭部に外傷を受け、その後下半身が不随となったような場合で、頭部外傷と下半身不随との間に医学経験則上相当因果関係があると認められる場合等が「通勤による負傷に起因する疾病」となる。
|