4.通勤災害に係る保険給付
遺族給付
1・支給要件
遺族給付は、労働者が通勤により死亡した場合に、その遺族に対し、その請求に基づき支給されます。
遺族給付には、遺族年金と遺族一時金があり、年金給付が原則ですが、年金の受給資格者がいない場合などには、一時金が支給されることとなります。
2・遺族年金
- 受給資格者と受給権者
遺族年金は、その性質上、死亡した労働者の遺族で、一定の市買うを有する者に対してのみ支給されますが、その一定の範囲の遺族のことを受給資格者といいます。受給資格者となるのは、「労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹」です。ただし、妻以外の遺族については労働者の死亡当時一定の高齢又は若年であるか、あるいは一定の障害の状態にあることが条件となっています。
年齢についての用件としては、労働者の死亡当時に、夫、父母又は祖父母にあっては55歳以上、子又は孫にあっては18歳未満、兄弟姉妹にあっては18歳未満55歳以上とされています。
また、障害の状態については、身体に「障害等級表」第5級以上に該当する障害がある場合、又はそれと同程度に労働能力が制限されている場合に受給資格者となります。
ところで、よく問題となる死亡した労働者との生計維持関係とはもっぱら又は主として労働者の収入によって生計を維持されていた必要はなく、労働者の収入によって生計の一部が維持されていればこの要件は満たすものとされています。したがって、いわゆる共稼ぎの夫婦の場合も生計が(互いに)維持されていたものとされ受給資格者とされます。
なお、配偶者については、届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情(いわゆる内縁関係)にあった者も含まれます。また、労働者の死亡当時胎児であった子については、出生のときから将来に向かって(労働者の死亡時にさかのぼることなく)受給資格者となります。
- 妻、60歳以上又は一定障害の夫
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定障害の子
- 60歳以上又は一定障害の父母
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定障害の孫
- 60歳以上又は一定障害の祖父母
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか60歳以上もしくは一定障害の兄弟姉妹
- 55歳以上60歳未満の夫
- 55歳以上60歳未満の父母
- 55歳以上60歳未満の祖父母
- 55歳以上60歳未満の兄弟姉妹
受給資格者のうち、最先順位者が失権すると次順位の受給資格者が新たな受給権者となりますが、これを転給とよんでいます。
なお、FからIまでに該当するものは、受給権者となっても60歳に達するまでは遺族年金の支給が停止されます。
(2)年金額
遺族年金の額は、遺族の数に応じ、次のとおりとされていますが、遺族年金の計算の基礎となる遺族とは、受給権者及び受給権者と生計を同じくしている受給資格者をいいます。
1人 給付基礎日額の153日分。ただし、55歳以上の妻又は厚生労働省令で定める障害
の状態にある妻にあっては、給付基礎日額の175日分
2人 給付基礎日額の201日分
3人 給付基礎日額の223日分
4人以上 給付基礎日額の245日分
遺族年金の受給資格者が妻以外にない場合で、その妻が高齢又は障害の状態にあるときは、妻たる身分と高齢又は障害の状態にある女性の就業が困難な状態にあることを考慮して、その妻に対し特別加算することとしています。この特別加算の対象となる障害の状態とは、遺族年金の受給資格者の要件と全く同じで、「障害等級表」の第5級以上の身体障害があるか、又はこれと同程度に労働が制限される状態にある場合をいいます。
遺族年金の額は、遺族の数、妻の年齢や障害の状態によって異なりますので、遺族の数が増減したとき、妻以外に受給資格者がない場合にその妻が55歳になったとき、又はその妻が障害の状態になり若しくはその事情が亡くなったときには、そのような事実が発生した月の翌月から年金額が改定されます。
なお、受給権者が2人以上、すなわち最先順位の受給資格者が2人以上であるときは、前期の年金額をそれらの者の人数で除して得た額が、それらの者の1人あたりの遺族年金の額となります。この場合、受給資格者たる遺族がどの受給権者と生計を同じくしているかは問題とされません。
(3)失権と失格
遺族年金の受給権者が次のいずれかに該当した場合には、その者の受給権は消滅します。
この場合に、同順位の受給権者がいなければ次順位の受給資格者が受給権者となります。
- 死亡したとき。
- 婚姻(いわゆる内縁関係を含む。)をしたとき
- 直系血族又は直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが事実上養子縁組関係と同様の事情にあるものを含む。)となったとき。
- 離縁(養子縁組関係の解消)によって死亡した労働者との親族関係が終了したとき。
- 子、孫又は兄弟姉妹については、18歳に達したとき(労働者の死亡の時から引き続き一定の障害の状態にあるときを除く。)
- 一定の障害の状態にあることにより受給権者となっている者については、その事情がなくなったとき。
なお、受給資格者が右のいずれかに該当した場合には、受給資格を失います。
(4)遺族年金前払一時金
労働者が死亡した直後は、いろいろと一時的な出費が必要となる場合が多くなります。そこで、受給権者が希望すれば、遺族年金をまとめて前払いする前払一時金の制度がもうけられています。
前払一時金の額は、給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1000日分の額のうち遺族年金の受給権者が選択する額です。
前払一時金が支給されると遺族年金は当分の間支給停止されます。
支給停止期間は、遺族年金の毎月分の額(1年たってからの文は年五分の単利で割り引いた額)の合計額が、前払一時金の額に達するまでの間とされています。
前払一時金の支給を受けた受給権者が失権し、次順位者が年金の受給権者となった場合であっても、まだ支給停止期間が満了していないときには、新たに受給権者となった者についても年金の支給停止期間が続くこととされています。
3・遺族一時金
- 支給要件と給付額
遺族一時金は、次の場合に支給されます。
- 労働者の死亡の当時、遺族年金を受け取ることができる遺族がいないとき。
- 遺族年金の受給権者が、最終順位にある者まですべて失権した場合に、受給権者であった遺族の全員に対して支払われた年金の合計額が、給付基礎日額の1000日ぶんに達していないとき。
給付額は、@の場合には、給付基礎日額の1000日分、Aの場合には、すでにすべての受給権者に支給された遺族年金の合計額と給付基礎日額の1000日分との差額となります。
(2)受給権者
遺族一時金の受給権者は、次の者のうち最先順位にある者(ABについては記載した順によります。)です。
- 配偶者
- 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持されていた子、父母、孫、祖父母
- その他の子、父母、孫、祖父母
- 兄弟姉妹
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