不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース
文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2025.06.05
〇不妊治療及び女性の健康課題対応の助成金
両立支援等助成金(不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース)
概要
不妊治療、月経(PMS(月経前症候群)含む。以下、同じ。)、更年期といった女性の健康課題に対応するために利用可能な両立支援制度を利用しやすい環境整備に取り組むとともに、不妊治療や女性の健康課題に関する労働者の相談に対応し、それぞれに関する制度を労働者に利用させた場合に助成金が支給されます。
★本コースでは、以下の3つの場合に助成金を支給します。
A:不妊治療:不妊治療と仕事との両立支援制度について、労働協約または就業規則等の規定整備により導入し、労働者がいずれかの制度を5日(回)以上利用した場合。
B:女性の健康課題対応(月経):月経に起因する症状への対応を図るための制度について、労働協約又は就業規則等の規定整備により導入し、労働者がいずれかの制度を5日(回)以上利用した場合。
C: 女性の健康課題対応(更年期):更年期における心身の不調への対応を図るための制度について、労働協約又は就業規則等の規定整備により導入し、労働者がいずれかの制度を5日(回)以上利用した場合。
※支給対象となるのは、中小企業のみ対象です 。
以下の場合に助成金の対象となります。
助成金は、次の場合に支給されます。
イ 不妊治療 不妊治療と仕事との両立支援制度について、労働協約又は就業規則等の規定整備により導 入し、対象労働者がいずれかの制度を5日(回)以上利用した場合に支給する。
ロ 女性の健康課題対応(月経) 月経に起因する症状への対応を図るための制度について、労働協約又は就業規則等の規定 整備により導入し、対象労働者がいずれかの制度を5日(回)以上利用した場合に支給する。
ハ 女性の健康課題対応(更年期) 更年期における心身の不調への対応を図るための制度について、労働協約又は就業規則等 の規定整備により導入し、対象労働者がいずれかの制度を5日(回)以上利用した場合に支給 する。
不妊治療とは、妊娠を希望しても一定期間妊娠をしない男女労働者が妊娠を希望して行う医学的治療をいいます。
不妊治療のための検査及び不妊の原因となる疾患に係る治療を含むものとする。
また、上記治療のための通院・移動、治療後の体調不良又は心身の不調への対応を含むものとする。
女性の健康課題対応女性の健康課題の解決を図るため、治療すること(治療のための検査及び原因となる疾患に 係る治療を含む。)、治療のための通院・移動、治療後の体調不良又は心身の不調への対応、体を休めること、勤務形態、勤務時間を変更し就業を継続することを含むものとする。
支援制度の利用対象者
各支援制度を利用できる対象者は、雇用保険被保険者以外も対象に含めるものとする。
なお、助成金の支給対象労働者は、雇用保険被保険者である必要があるものとする。
不妊治療のための両立支援制度 不妊治療と仕事との両立を支援する制度であり、労働者が就業を継続しつつ不妊治療を行うことを容易にするために事業主が講じた下記イからへに係る制度であって、不妊治療を行う労働者も利用可能であることが労働協約又は就業規則等に規定されているものをいいます。
なお、性別、雇用形態を問わず不妊治療を行う者が利用できる制度であること。
イ 不妊治療のための休暇制度不妊治療のために利用可能な休暇制度・・・(不妊治療を含む多様な目的で利用することができる休暇制度及び利用目的を限定しない休暇制度を含む。労働基準法第39条の規定による年次有給休暇は除きます。)
ロ 不妊治療のための所定外労働制限制度(残業免除)・・・所定労働時間を超えて労働させない制度であって、不妊治療を行う労働者も利用可能であるものをいいます。
ハ 不妊治療のための時差出勤制度・・・1日の所定労働時間を変更することなく始業及び終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度であって、不妊治療を行う労働者も利用可能であるものをいいます。
ニ 不妊治療のための短時間勤務制度・・・1日の所定労働時間を短縮する制度であって、不妊治療を行う労働者も利用可能であるものをいいます。
ホ 不妊治療のためのフレックスタイム制・・・一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業 時刻を自ら決め利用できる制度であって、不妊治療を行う労働者も利用可能であるものをいいます。
へ 不妊治療のための在宅勤務等・・・事業主の指示の下、労働者が、自宅等において業務(情報通信技術(ICT)を活用した 勤務を含む。以下同じ。)を実施することができる制度であって、不妊治療を行う労働者も 利用可能であるものをいいます。
不妊治療のための両立支援担当者
不妊治療と仕事との両立支援を図るための業務を担当し、労働者からの相談に応じる者をいいます。
両立支援担当者は、事業主が、事業主又は雇用する労働者の中から選任します。
なお、社会保険労務士、産業医等外部の専門家(例:助産師、産婦人科医、保健師、看護師等)を選任することも可能です。
支給要件(不妊治療)
支給対象事業主
次のいずれにも該当する中小企業事業主に支給されます。
イ 不妊治療のための両立支援制度のうち導入した制度について、労働協約又 は就業規則に規定していること。
また、制度利用に係る手続や賃金の取扱い等について、労働協約又は就業規則に規定していること。
各事業場において常時10人未満の労働者を雇用する事業主であり、就業規則の作成・届出 を行っていない場合は、導入した不妊治療のための両立支援制度、制度利用に係る手続や賃金の取扱い等が明文化され、全労働者に周知されていること。
ロ 不妊治療を行う対象労働者(以下「対象労働者」といいます。)の制度利用において、上記イに規定する範囲内で運用していること。
なお、上記イの規定整備等については、対象労働者による不妊治療のための両立支援制度 の利用開始日の前日までに実施するものであること。
ハ 不妊治療のための両立支援担当者について、対象労働者が不妊治療のため の両立支援制度の利用を開始する日の前日までに選任していること。
ニ 上記イの規定等に基づき、対象労働者について、不妊治療のための両立支援制度のうちいずれかの制度又は各制度を組み合わせて、対象労働者の所定労働日において、合計して5日 以上利用させたこと。
その際、時間単位の利用も可能であるが、5日間に分けて利用する必要があること。
ただし、利用期間は当該制度利用開始日から1年以内であること。
なお、対象労働者について、当該制度の利用開始日から申請日において雇用保険被保険者 として継続雇用していること。
また、次の(イ)から(ハ)については、以下に掲げる要件を満たす利用実績があること。
さらに、対象労働者について、変形労働時間制、フレックスタイム制、事業場外労働制、裁量労 働制や高度プロフェッショナル制が適用されている者及び労働基準法第41条に規定する者は、 イ及びヘの制度については対象となるものであること。
また、イ及びヘの制度を除き、出勤簿の押印のみで出退勤管理をしている場合など、出退勤時間がタイムカードや出退勤記録簿等書面で確認できない場合は支給対象とならないこと。
(イ) 不妊治療のための休暇制度
不妊治療に特化した休暇制度のみならず、不妊治療を含む多様な目的で利用できる休暇制度及び利用目的を限定しない休暇制度を含みます。
労働基準法第39条の規定による年次有給休暇は対象としないが、失効年次有給休暇を不妊治療のために利用できる制度は対象とすること。
なお、多目的休暇や利用目的を限定しない休暇制度、失効年次有給休暇を利用できる制度を利用する場合は、不妊治療のために制度を利用したことが確認できない日数は算定しないものであること。
(ロ) 不妊治療のための短時間勤務制度
1日の所定労働時間を1時間以上短縮する制度であり、下記a及びbを満たすこと。
なお、不妊治療のために利用したことが確認できない日数は算定しないものであること。
a 制度利用期間の時間当たりの基本給等(職務手当及び資格手当等の諸手当、賞与を含む。)の水準が制度利用前より下回っていないこと。
b 短時間勤務の利用に当たって、正規雇用労働者であった者が、それ以外の雇用形態に 変更されていないこと(本人の希望によるものも含む。)。
(ハ) 不妊治療のための所定外労働制限制度(残業免除)、時差出勤制度、フレックスタイム制及び在宅勤務等
不妊治療のために利用したことが確認できない日数は算定しないものであること。
受給額
30万円を支給する。
ただし、1中小企業事業主当たり、最初の対象労働者が生じた場合、1回限り支給されます。
また、過去に両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース )を受給した中小企業事業主は、受給できません。
なお、同一年度内(各年の4月1日から翌年の3月31日までの間)に女性の健康課題対応(月経)や女性の健康課題対応(更年期)をを受給した場合であっても、(対象労働者が同一の労働者である場合を含む。)は受給が可能です。
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