資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)

資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)

「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について」

賃金の支払方法については、通貨のほか、労働者の同意を得た場合には、銀行その他の金融機関の預金又は貯金の口座への振込み等によることができることとされています。

キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用するニーズも一定程度見られることも踏まえ、今般、使用者が、労働者の同意を得た場合に、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払(いわゆる賃金のデジタル払い)ができることとしました。

資金移動業者の指定要件等については、労働政策審議会労働条件分科会において、公労使の代表に議論し定められました。

現在は、資金移動事業者が指定申請をし、厚生労働省で審査を行っている段階です。

資金移動業者の口座へ賃金支払の制度の概要(骨子)

(1) 使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について(2)の方法によることができるものとする。

※銀行口座への振込、一定の要件を満たす証券総合口座への払込は、引き続き可能。

※資金移動業者の口座への賃金支払について、使用者が労働者に強制しないことが前提。

(2) 次の①~⑦の全ての要件を満たすものとして、厚生労働大臣が指定する資金移動業者の口座への資金移動

(指定の要件)

① 破産等により資金移動業者の債務の履行が困難となったときに、労働者に対して負担する債務を速やかに労働者に保証する仕組みを有していること。

② 口座残高上限額を100万円以下に設定又は100万円を超えた場合でも速やかに100万円以下にするための措置を講じていること。

※口座残高100万円超の場合に資金を滞留させない体制整備が資金決済法に基づき資金移動業者に求められていることや、①の資金保全スキームにおい
て速やかに労働者に保証できる額は最大100万円と想定していることを踏まえ、破綻時にも口座残高が全額保証されることを担保するための要件。

③ 労働者に対して負担する債務について、当該労働者の意に反する不正な為替取引その他の当該労働者の責めに帰すことができない理由により当該労働者に損失が生じたときに、当該損失を補償する仕組みを有していること。

④ 最後に口座残高が変動した日から少なくとも10年は口座残高が有効であること。

⑤ 現金自動支払機(ATM)を利用すること等により口座への資金移動に係る額(1円単位)の受取ができ、かつ、少なくとも毎月1回は手数料を負担することなく受取ができること。また、口座への資金移動が1円単位でできること。

⑥ 賃金の支払に関する業務の実施状況及び財務状況を適時に厚生労働大臣に報告できる体制を有すること。

⑦ ①~⑥のほか、賃金の支払に関する業務を適正かつ確実に行うことができる技術的能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。

(3) 厚生労働大臣の指定を受けようとする資金移動業者は、①~⑦の要件を満たすことを示す申請書を厚生労働大
臣に提出しなければならない。厚生労働大臣は、指定を受けた資金移動業者(指定資金移動業者)が①~⑦の要件を満たさなくなった場合には、指定を取り消すことができる。

よくあるご質問への回答

労働者は、必ず賃金のデジタル払いで受け取らなければならず、銀行口座等で受け取ることができなくなるのでしょうか。

賃金のデジタル払いは、賃金の支払・受取の選択肢の1つです。

労働者が希望しない場合は賃金のデジタル払いを選択する必要はなく、これまでどおり銀行口座等で賃金を受け取ることができます。

また、使用者は希望しない労働者に強制してはいけません。

賃金の一部を資金移動業者口座で受け取り、残りを銀行口座等で受け取ることも可能です。

賃金のデジタル払いを開始するために、事業場で必要な手続きを教えてください。

事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合と、ない場合は労働者の過半数を代表する者と、賃金デジタル払いの対象となる労働者の範囲や取扱指定資金移動業者の範囲等を記載した労使協定を締結する必要があります。

その上で、賃金のデジタル払いを希望する個々の労働者は、留意事項等の説明受け、制度を理解した上で、同意書に賃金のデジタル払いで受け取る賃金額や、資金移動業者口座番号、代替口座情報等を記載して、使用者に提出することが必要になります。

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