長時間労働の脳梗塞でよく頂く質問 社会保険労務士法人愛知労務

よく頂く質問

文責 社会保険労務士 宮本 麻由美 2021.09.26

今までに頂いた質問を分かりやすく説明をしてみたいと思います。

どうぞ、労災保険の申請にお役立ててください。

また、分からないことありましたらご遠慮なくお問合せください。

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Q.脳血管疾患で倒れたのですが、対象でない診断名では労災保険の認定に該当しませんか?
A.認定基準では、4つの脳血管疾患が掲げられています。 脳内出血(脳出血)、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症です。 これ以外の脳疾患については、過重負荷に関連して発症することは考えにくいものであるとされています。 従って、認定基準で判断するのは、上記4つの疾患に掲げられているものに限ります。
Q.発症日前より少し前に異常な出来事に遭遇している場合は、労災の認定の対象になりますか?
A.異常な出来事の評価期間は、発症直前から前日までの間となっています。

発症全日より前に遭遇したとする出来事については、短期間の過重業務で評価されます。

評価期間は、発症前おおむね1週間です。

日常業務(通常の所定労働時間内の所定業務をいいます)に比較して特に過重な身体的、精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる仕事があったかです。

具体的な負荷要因:

労働時間

不規則な勤務

拘束時間の長い勤務

出張の多い業務

交代制勤務、深夜勤務

作業環境(温度環境・騒音・時差)

精神的緊張を伴う業務

Q.脳梗塞の発症前おおむね6か月間の途中で会社を退職している場合、業務の過重性の評価はどうなりますか?
A.長期間の加重業務に係わる評価期間はおおむね6か月です。

この間に会社を退職している場合には、退職前の会社における業務負荷のみをもって業務の過重性の評価が行われます。

その際、時間外労働時間数の計算は、あくまでも発症日を起点として発症前おおむね6か月間について行われますが、退職後、転職などせずに失業している場合は、業務負荷はまったく無いので、その期間中の疲労の回復を考慮する必要が出てくると思われます。

Q複数業務要因災害についての考え方はどうか?
A.二以上の事業の業務による「長期間の過重業務」及び「短期間の過重業務」の判断

「長期間の過重業務」及び「短期間の過重業務」に関し、業務の過重性の検討に当たっては、異なる事業における労働時間を通算して評価する。また、労働時間以外の負荷要因については、異なる事業における負荷を合わせて評価する。

 

二以上の事業の業務による「異常な出来事」の判断

「異常な出来事」に関し、これが認められる場合には、一の事 業における業務災害に該当すると考えられることから、一般的には、異なる事業における負荷を合わせて評価することはないものと考えられる。

Q休日のない連続勤務とは?
A.新規に追加された項目であり、旧認定基準においては、労働時間の項目の中で評価されていた内容について、独立した負荷要因として明らかにされたものです。

なお、休日がない場合だけでなく、休日が少ない場合もこの項目で評価します。

ここでいう「連続勤務」は労働日が連続することを指し、24時間連続勤務のような引き続いて実施される一勤務が長い状況については、本項目ではなく「不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務」の項目において評価します。

Q勤務間インターバルが短い勤務とは?
A.新規に追加された項目であり、旧認定基準においては、「交替制勤務・深夜勤 務」の項目で「勤務と次の勤務までの時間」として評価を行っていた内容ですが、交替制勤務等に限らず、時間外労働により終業時刻が遅くなり、次の始業時刻までの時間が短くなった場合も含めて本項目で評価します。

また、長期間の過重業務の判断に当たって、検討の対象とする時間数が示されていますが、勤務間インターバルがおおむね11時間未満であるか否かだけでなく、勤務間インターバルの時間数、頻度、連続性等についても検討する必要があります。

Q不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務とは?
A.旧認定基準における「不規則な勤務」と「交替制勤務・深夜勤務」について、負荷となる理由の共通性や、実際の事例における区分の困難性等の観点から統合されました。

本項目は、勤務時間帯やその変更が生体リズム(概日リズム)と生活リズムの位相のずれを生じさせ、疲労の蓄積に影響を及ぼすことを評価するものであることから、交替制勤務がスケジュールどおり実施されている場合や、日常的に深夜 勤務を行っている場合であっても、負荷要因として検討し、労働時間の状況等と合わせて評価されます。

Q基礎疾患を有する者についての考え方はどうか?
A.器質的心疾患(先天性心疾患、弁膜症、高血圧性心疾患、心筋症、心筋炎等)を有する場合についても、その病態が安定しており、直ちに重篤な状態に至るとは考えられない場合であって、業務による明らかな過重負荷によって自然経過を 超えて著しく重篤な状態に至ったと認められる場合には、業務と発症との関連が認められるものであること。

ここで、「著しく重篤な状態に至った」とは、対象疾病を発症したことをいう。