腰痛の労災認定 労災保険申請

業務上腰痛の認定基準

文責 社会保険労務士 松井 宝史 最終更新日:2020.08.01

労働者に発症した腰痛が業務上のものとして労災認定できるかを判断するために「業務上腰痛の認定基準」が厚生労働省によって定められています。

認定要件

認定基準では、腰痛を次の2種類に区分して、それぞれ労災補償の対象と認定するための要件を定めています。

労災補償の対象となる腰痛は、医師により療養の必要があると診断されたものに限ります。

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災害性の原因による腰痛:

負傷などによる腰痛で、次の①、②も要件をどちらも満たすもの

①腰の負傷またはその負傷の原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたと明らかに認められること

②腰に作用した力が腰痛を発症させ、または腰痛の既往症・基礎疾患を著しく悪化させたと医学的に認められること

「災害性の原因による腰痛」とは、腰に受けた外傷によって生じる腰痛のほか、外傷はないが、次の具体例のように、突発的で急激な強い力が原因となって筋肉等(筋、筋膜、靱帯など)が損傷して生じた腰痛を含みます。

具体例1

重量物の運搬作業中に転倒した場合や、重量物を2人で担いで運搬する最中にそのうちの1人が滑って肩から荷をはずした場合のように、突然の出来事により急激な強い力が腰にかかったことにより生じた腰痛

具体例2

持ち上げる重量物が予想に反して、重かったり、逆に軽かったりする場合や、不適当な姿勢で重量物を持ち上げた場合のように、突発的で急激な強い力が腰に異常作用したことにより生じた腰痛

なお、俗に言われる「ぎっくり腰」(病名は「急性腰痛症」など)は、日常的な動作の中で生じるので、たとえ仕事中に発症したとしても、労災補償の対象とは認められません。

ただし、発症時の動作や姿勢の異常性などから、腰への強い力の作用があった場合には業務上と認められることがあります。


災害性の原因によらない腰痛:

突発的な出来事が原因ではなく、重量物を取り扱う仕事など腰に過度の負担のかかる仕事に従事する労働者に発症した腰痛で、作業の状態や作業時間などからみて、仕事が原因で発症したと認められるもの

「災害性の原因によらない腰痛」とは、日々の業務による腰部への負担が徐々に作用して発症した腰痛をいい、その発症原因により、次の①と②に区分して判断されます。

①筋肉等の疲労を原因とした腰痛

次のような業務に比較的短時間(約3か月以上)従事したあことによる筋肉等の疲労を原因として発症した腰痛は、労災補償の対象となります。

約20㎏以上の重量物または重量の異なる物品を繰り返し中腰の姿勢で取り扱う業務(例:港湾荷役など)

毎日数時間程度、腰にとって極めて不自然な姿勢を保持して行う業務(例:配電工(柱上作業)など)

長時間立ち上がることができず、同一の姿勢を持続して行う業務(例:長距離のトラックの運転業務 など)

腰に著しく大きな振動を受ける作業を継続して行う業務(例:車両系建設用機械の運転業務 など)

②骨の変化を原因とした腰痛

次のような重量物を取り扱う業務に相当長期間(約10年以上)にわたり継続して従事したことによる骨の変化を原因として発症した腰痛は、労災補償の対象となります。

約30㎏以上の重量物を、労働時間の3分の1程度以上に及んで取り扱う業務

約20㎏以上の重量物を。労働時間の半分以上に及んで取り扱う業務

なお、腰痛は、加齢による骨の変化によって発症することが多いため、骨の変化を原因とした腰痛が労災補償の対象と認められるには、その変化が「通常の加齢による骨の変化の程度を明らかに超える場合」に限られます。

また、上記①に示す業務に約10年以上従事した後に骨の変化を原因とする腰痛が生じた場合も労災補償の対象となります。

労災補償の対象となる治療の範囲

椎間板ヘルニアなどの既往症または基礎疾患のある労働者が、仕事により、その疾病が再発したり、重症化したりした場合は、その前の状態に回復させるための治療に限り労災補償の対象となります。

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