労働基準法の知識
文責 社会保険労務士 松井 宝史 2021.05.04
残業等の割増賃金
給与計算における残業等の割増賃金の計算を解説します。
残業、休日・深夜労働をしたときの割増賃金
○割増賃金の計算の仕方は労働基準法で定められている
時間外労働(残業)、休日労働、深夜労働をしたときには、割増賃金を支払うことが労働基準法で義務付けられています。
(1)時間外労働手当(残業手当)
残業等の割増賃金 (1) 時間外労働手当(残業手当)
•法定労働時間は、原則として1日8時間、1週40時間
•36協定を結び、労働基準監督署長に届け出た場合 その協定内の範囲内での時間外労働可能
•超えた労働時間については、25%以上の割増賃金を支払う
•所定労働時間(会社が就業規則などで定めた労働時間)が法定労働時間(1日8時間)であれば就業規則などで定めがある場合を除いて、割増賃金を支払う必要はない
(2)休日労働手当
残業等の割増賃金 (2) 休日労働手当
•法定休日は、1週間に1日または4週間に4日の休日
•36協定を結び、労働基準監督署長に届け出た場合 その協定内の範囲内での休日労働可能
•法定休日に労働させた場合には休日労働手当として、35%以上の割増賃金を支払う
•完全週休2日制の場合には、会社の定めた休日に労働させたとしても、法定休日外であれば、就業規則などで定めがある場合を除いて、割増賃金を支払う必要はない
(ただし、1週40時間労働を超える範囲の時間となる場合は、法定時間外労働としての割増賃金が必要となります。)
(3)深夜労働手当
残業等の割増賃金 (3) 深夜労働手当
● 深夜労働は、午後10時から翌朝5時までの時間帯の労働
● 深夜労働手当として25%以上の割増賃金を支払う
時間外労働が深夜の時間帯に及んだ場合 50%以上(25%+25%)
休日労働が深夜の時間帯に及んだ場合 60%以上(35%+25%)
注)休日に8時間を越えて労働させても、それが深夜の時間帯に及ばない限り、35%以上の割増賃金を払えばよい。
労働時間と割増賃金の端数処理
時間外労働、休日労働または深夜労働の時間労働数には、1時間未満の端数が生じることもあります。
•1時間未満の端数 → 端数の1か月分を合計
合計しても端数があるときは、その1時間未満の端数について
1.30分未満は切捨て
2.30分以上1時間未満の端数は切り上げて1時間とする
•毎日の労働時間について
1.30分以上1時間未満を1時間に切り上げる → 認められる
2.30分未満を切捨てる → 認められない
•1円未満の端数
1.50銭未満を切捨て
2.50銭以上1円未満を切り上げる