労災保険の外科後処置

労災保険の外科後処置とは

文責 社会保険労務士 松井 宝史 2024.07.09

外科後処置

労災保険の療養補償給付または療養給付では、傷病が治癒(症状固定)した後の給付は受けられません。

しかし、治癒したといっても、再手術や理学療法などを行わないと、被災労働者が社会復帰できないこともあります。

そこで、このような治癒後の処置を療養補償給付や療養給付とは別の「外科後処置」として、治癒後の診療を認めているのです。

外科後処置を受けることができるのは、労災保険の障害補償給付、障害給付の支給決定を受けた方のうち、外科後処置により失った労働能力を回復できる見込みのある場合、醜状を軽減し得る見込みのある場合に限られます。

労災保険法で定められている支給制限を受けた結果、現実には障害補償給付、障害給付を受けなかった場合にも、障害等級に該当する障害を残すものであれば外科後処置を受けることができます。

外科後処置はあくまでも障害の軽減が見込まれる方に対して行われるものですから、その見込みのない方の温浴、マッサージ等の診療は対象になりません。

外科後処置の範囲は原則として、整形外科診療、外科的診療、理学療法とされていて、その処置に必要な医療の給付は次のとおりです。

イ 診察
ロ 薬剤又は治療材料の支給
ハ 処置、手術その他の治療
ニ 病院への収容
ホ 看護

外科後処置の効果が期待できる限り、回数に制限なく受けることができます。

外科後処置は、全国32か所の労災病院(医療リハビリテーションセンター、総合せき損センターを含みます。)、都道府県労働局長が指定した全国の国公立等の外科後処置委託病院で実施しています。


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