給付基礎日額と算定基礎日額の違い 通勤災害(労災保険)Q&A

給付基礎日額と算定基礎日額

文責 社会保険労務士 松井 宝史 2023.02.05

Q:相談事例3:通勤途中の交通事故でケガをしてしまいました。労災保険で後遺症の申請をしようと思っています。知り合いから、給付基礎日額と算定基礎日額があると聞きました。違いは何でしょうか?

回答です:労災保険では、療養給付、介護給付、二次健康診断等給付以外の保険給付は、原則として被災労働者(おケガをされた方)の給料やボーナスによって給付額が異なります。

給付基礎日額

給付基礎日額は、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額をいいます。

毎月の給料を基に計算する日額となります。

平均賃金は、原則として通勤による負傷等の原因となった事故が発生した日(賃金締切日が定められているときは、その日の直前の賃金締切日)直前3か月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額(ボーナスや臨時に支払われる賃金を除く)を、その期間の歴日数で割った、1日当たりの賃金額のことです。

以前3か月間とは

算定事由の発生した日は含まず、その前日から遡って3か月です。
賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から遡って3か月となります。
賃金締切日に事由発生した場合は、その前の締切日から遡及します。

なお、次の期間がある場合は、その日数及び賃金額は先の期間および賃金総額から控除します。

◎業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間

◎産前産後休業期間

◎使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間

◎育児・介護休業期間

◎試みの使用期間(試用期間)

賃金の総額とは

算定期間中に支払われる、賃金のすべてが含まれます。
通勤手当、精皆勤手当、年次有給休暇の賃金、通勤定期券代及び昼食料補助等も含まれ、また現実に支払われた賃金だけでなく、賃金の支払いが遅れているような場合は、未払い賃金も含めて計算されます。
ベースアップの確定している場合も算入し、6か月通勤定期なども1か月ごとに支払われたものと見なして算定します。
なお、次の賃金については賃金総額から控除します。

(1) 臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、加療見舞金、退職金等)

(2) 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(四半期ごとに支払われる賞与など、賞与であっても3か月ごとに支払われる場合は算入されます)

(3) 労働協約で定められていない現物給与(なお、労働協約によらない現物給与は違法です。)

日々雇い入れられる者(日雇労働者)

稼動状態にむらがあり、日によって勤務先を異にすることが多いので、一般常用労働者の場合と区別して以下のように算定します。
日雇労働者の平均賃金

(1)本人に同一事業場で1か月間に支払われた賃金総額÷その間の総労働日数×73/100

(2)当該事業場で1か月間に働いた同種労働者がいる場合)

同種労働者の賃金総額÷その間の同種労働者の総労働日数×73/100

給付基礎日額の計算例

例えば、事故が7月10日で会社の賃金締切日が月末とすると、4月、5月、6月の給与の額を91日で割った額となります。

4月は30日、5月は31日、6月は30日、合計91日です。

休業給付の額の算定の基礎となる給付基礎日額は、賃金水準の変動に応じて増額または減額(スライド)され、また療養開始後1年6か月を経過した場合は、年齢階層別の最低・最高限度額が適用されます(休業給付基礎日額)

例えば、45歳以上50歳未満の方の最低限度額は7,096円、最高限度額は22,898円となっています。(令和3年厚労告286号)

最終的な給付基礎日額は、スライド制が適用される場合はスライド後の金額と年齢階層別最低。最高限度額とを大小比較して算定されます。

休業給付は、原則1年6か月となっていますが、それ以上延長されることがあります。

どのような場合に延長されるかは、愛知労務までお問合せください。

雇い入れ後3か月に満たない内に事故した場合

例えば、入社して6日目に朝出勤する時に通勤災害で負傷して休業が発生した場合は、次のようになります。

基本給、時間外手当、食事手当が5日間(就労日数4日)で49,100円支払われていました。

通勤手当は、1,600円で日割り計算して支給されていました。

平均賃金の原則で計算すると、50,700円÷5日=10,140円

最低保証平均賃金の計算法だと

1, 600円÷5日=320円

49,100円÷4日×60分の100=7,365円

320円+7,365円=7,685円(最低保証平均賃金)

★平均賃金の原則により計算した金額を最低保証平均賃金が上回る場合は、最低保証賃金が平均賃金となります。

この事例の場合は、「平均賃金の原則」の方が高いので、この金額10,140円が使われます。

 

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電話:0533-83-6612 (初回相談無料です)

担当:社会保険労務士 宮本 麻由美

社会保険労務士 宮本麻由美

mail:maturom@mtj.biglobe.ne.jp

 

給付基礎日額の最低保障額(自動変更対象額)

労災保険制度で用いる給付基礎日額については、原則として労働基準法第12条に規定する平均賃金に相当する額とされていますが、被災時の事情により給付基礎日額が極端に低い場合を是正し、補償の実効性を確保するため、その最低保障額である自動変更対象額を定めることとしています。

令和3年8月1日から適用される自動変更対象額は、3,970円(改定前3,940円)です。(令和4年7月29日厚生労働省告示第241号)

給付基礎日額の特例というものがあります。

この場合は、所轄労働基準監督署長が算定する額が、給付基礎日額となります。

①平均賃金の算定期間中に私傷病による療養のための休業期間がある場合

平均賃金の最低基礎期間中に、通勤災害その他の業務外の事由による傷病の療養のため休業した期間が含まれる場合には、その期間及びその期間中に受けた賃金の額を平均賃金の算定基礎期間及びその期間中の賃金の額から控除して算定した平均賃金に相当する額を給付基礎日額とします。

ただし、この方法により算定した給付基礎日額が原則通り労働基準法の平均賃金を求める方法によって計算した額より下回る場合は、後者の額を給付基礎日額とします。

これは、通勤災害や私傷病の療養のため休業した期間が算定期間に含まれている場合に原則通り計算すると、健常時の賃金に比べて低くなることがあるので、これについての特例措置です。

②じん肺患者の場合

③1年を通じて船員法第1条に規定する船員として船舶所有者に使用される者の場合

④①~③に定めるほか、平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められる場合には、厚生労働省労働基準局長が定める基準に従って算定する額

給付基礎日額に1円未満の端数があるときは、1円に切り上げられます。

年金給付基礎日額

年金たる保険給付(年金給付)の算定の基礎となる給付基礎日額を年金給付基礎日額といいます。

年金たる保険給付(年金給付)は長期にわたる給付を前提としているので、補償内容が適正なものとなるよう、一定の修正をおこなう仕組みがあります。

年金としての保険給付の額の算定の基礎となる給付基礎日額についても、賃金水準に応じて増額または減額(スライド)され、年齢階層別の最低・最高限度額の適用があります(年金給付基礎日額)

年齢階層別の最低・最高限度額は年金が支給される最初の月から適用されます。

年金になるには、障害等級が1級~14級までありますが、1~7級に認定される必要があります。

ですので、障害等級はとても大事なこととなります。

あなたにとって一生にかかわることなので、ぜひ、労災保険申請専門の社会保険労務士に相談されることをお勧めします。

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算定基礎日額

一方、算定基礎日額は、原則として通勤による負傷等の原因である発生した日の前1年間にその労働者が会社から受けた特別給与の総額(算定基礎年額)を365で割った額です。

特別給与とは、ボーナスなど3か月を超える期間ごとに支払われる賃金をいい、臨時に支払われた賃金は含まれません。

特別給与の総額が給付基礎年額(給付基礎日額の365倍に相当する額)の20%に相当する額を上回る場合には、給付基礎年額に相当する額が算定基礎年額となります。

ただし、150万円が限度額です。

例えば、夏のボーナスが55万円、冬のボーナスが60万円だとします。

年間のボーナスは、115万円となります。

算定基礎日額は、115万円÷365日=3,150円68銭となり、3,151円となります。

そして、「せき柱に運動障害を残す」という障害を負った場合、障害等級は第8級と認定されます。

いわゆる頚椎圧迫骨折、胸椎圧迫骨折、腰椎圧迫骨折などに遭った場合をいいます。

障害特別一時金(いわゆるボーナス分)は、3,151円×503日=1,584,953円です。

転職したばかりの方の事故の場合の事例

転職して2か月目の事故でしたので、事故1年前のボーナスがありませんでした。

そこで労働基準監督署の担当官と相談し、「特別給与(賞与)支払額証明書(申立書)」の提出をすることになりました。

同一事業所、同種労働者の支給実績等を基に、ボーナス特別支給金を計算していただけることになりました。

雇入後1年未満で負傷した場合は、特別給与の算定基礎期間の全期間使用されていたと仮定した場合に、被災日前1年間において受けたであろうと推計される額になります。

(当該労働者に適用される就業規則、その事業場における同種の労働者の受ける特別給与額等から推定してください。)

滋賀労働局の平均賃金算定内訳の書式はここからダウンロードしてください。平均賃金算定内訳

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参考ページ:特別支給金

 

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