相続・遺言の豆知識

おひとりさまについて

文責 FP2級技能士 松井 宝史 2021.05.15

おひとりさま

現在は配偶者がいない同じひとり身でも、それまでの紆余曲折により環境や立場はまったく違います。

では、子供の有無により、財産の行き先はどう違うのでしょうか。

子があるおひとりさまは、第1順位の法定相続人である子がすべての財産を相続します。

遺留分は2分の1なので遺言書を作成すれば最大で財産の半分は自分の好きなところに残せます。

子がいないおひとりさまは、第2順位の親が亡くなっていたら、第3順位の兄弟姉妹が、兄弟姉妹が亡くなっていたら甥や姪がすべての財産を相続します。

兄弟姉妹や甥や姪には遺留分がありません。遺言書を書けばすべての財産を自分の思い通りに処分できます。

では、遺言書がなく、法定相続人もいないとき財産はどうなるのでしょうか。

この場合、特別縁故者からの申出がなければ、財産はすべて国のものになってしまいます。

特別縁故者

相続人が誰もおらず、相続財産が国のものになってしまう場合、亡くなった人と特別に縁故が深い事情のある人(特別縁故者)は、家庭裁判所に申し出て相続財産の全部または一部をもらうことができます。

特別縁故者とは、亡くなった人と生計を同じくしていた者、療養看護に努めた者、その他特別の縁故のあった者のことをいいます。

内縁の妻、妻の連れ子、長男の妻(長男はすでに死亡)などが代表的な例です。

親族ではない他人や老人ホームなどの法人でもかまいません。

もらえる財産の金額は、縁故関係の深さや縁故者の生活状況、財産の内容など様々な事情を考慮して決められます。

特別縁故者として認められるか、いくらもらえるかは、家庭裁判所の裁定次第です。

また、他にも様々な手続が必要なため、財産をもらうまでには裁定でも10ヶ月以上はかかります。

財産を残したい人がいるときには、遺言書を作成しておくほうがよいでしょう。

一人で住んでいる私が死んだら遺体はどうなるの?

一人暮らしをしていると、ふと私が突然心筋梗塞などの突然の病気で死んだらどうなるのだろうと考えたことがあると思います。

死んだ後のことは、普通は考えたくないことですが、他人に迷惑をかけるのは嫌ですね。

昔、私の親戚の者が孤独死したのに立ち会いました。

死後、日にちが大分経っていたので、遺体は腐食しており、いろいろと難儀したことを今でも覚えています。

その日は、夜8時ごろ親戚の者から電話があり、アパートまで一緒に行きました。

行った時は、警察が本人確認をするために「歯科医師」を呼んで、歯形で本人確認をしている最中でした。

その後、警察から本人確認が取れたという連絡をいただき、今度は、葬儀社を手配し、特別の処置をして遺体を葬儀社の葬儀場まで搬送していただきました。

葬式は、それは寂しいものでした。遺体の「お顔」を見ることはできませんでした。

死後、遺体がどういう流れで葬儀をし、火葬にかけられるか考えておきたいですね。

私もその時は、慌てました。

病院で亡くなった場合、誰が遺体を病院から引き取ってくれるのか、葬式の手配は誰がやってくれるのか、市町村への死亡の手続きはどうなるのか、病院の入院費の支払いは誰がしてくれるのか、分からないことだらけだと思います。

死後のことについて遺された人に伝えるという「遺言書」を思い浮かべると思いますが、遺言書に書かれていることは、残された財産を誰にゆずるかが中心となっています。

自分が死んだ後の手続きにについては、ほとんど何も書かれていません。

また、書かれていても、それが読まれる頃には、全部が終わっている可能性が高いのです。

死んですぐの手続きを誰にお願いするかについては、「死後事務委任契約」という制度が解決に導いてくれます。

死後事務委任契約は、あらかじめ代理人(受任者)を決めて、自分(委任者)の希望どおり死亡後のさまざまな手続きをしてもらう契約です。死後事務委任契約を結ぶ代理人には、とくに資格は必要ありません。

◎死亡当日
①病院の主治医に死亡診断書などを記入してもらいます
②葬儀社の手配をします
③遺体の安置場所などの決定をします
④自宅または葬儀社へ遺体の搬送を指示します

◎翌日
①葬儀社との打ち合わせをします
②死亡届の提出、火葬許可申請をします
③事前に打ち合わせた親族等へ連絡をします

◎1週間以内
①通夜、告別式、火葬等をします
②火葬許可証の提出、埋葬許可証の受け取り

◎2週間以内
①年金事務所へ死亡届提出、年金未払い分の請求(事前に誰か受取るか決めておきます)
②健康保険、介護保険などの喪失手続き
③世帯主の変更など

◎それ以降
①遺言書を探し(公正証書遺言の場合は、事前に入手しておきます)相続開始を関係者に連絡をします
②遺品整理をします

FP松井宝史

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